【第3回】更年期にお悩みの方へ。更年期が起こる理由を考える。

東洋医学の基本は、日々の「ご自愛」です。
心がけから始める健やかな身体とこころの整え方を均整師の中野史朗さんがやさしくガイドします。
前回は更年期障害に悩む方へのご自愛の方法を紹介しましたが、試していただけましたでしょうか?少しでもお身体が楽になるようでしたら、ぜひお続けください。
それにしても、生理があるだけでも大変だったのに、どうしてさらなるトラブルに悩まされなければならないのでしょうか。
東洋医学では、身体に起こることはすべて身体を守り、よりよくするための現象と考えます。西洋医学でも、例えば発熱は体内に入ったウイルスをやっつけ、下痢やおう吐は体内に入った毒物を速やかに排泄するために起きると考えますが、東洋医学ではすべての不調には必ず何かしらの意味合いがある、と考えます。
多くの方が悩まされるホットフラッシュ
涼しいところなのにカーッとのぼせ、頭から汗が噴き出してきます。何のためにこんな面倒なことが起きるのでしょうか?
東洋医学では、デトックスの一種だと考えています。
頭、特に頭皮は子宮と関係する、と東洋医学では考えます。生理があればそれがデトックスのひとつの方法になっていましたが、生理が終わりを迎え、十分にデトックスが出来なくなります。そこで、身体はもしこのまま生理が終わったらデトックスが十分に出来ない、と判断し今度は子宮と関係の深い身体の他の場所を使ってデトックスをしようとします。それが子宮の代わりの頭皮であり、出血の代わりの発汗であると考えます。
また、うつのような状態になる方もいらっしゃいます。これは、行動をセーブして今まで頑張ってきた疲労を少しでも抜こう、とする身体の反応であると考えられます。ほかに、感情の起伏が激しくなり突然悲しくなって涙があふれ、止まらなくなる方もいらっしゃいます。今まで十分我慢して心がパンクしそうなのを防ぐ、自然な心のデトックスではないでしょうか。
つらくてたまらない、と言う方はそのつらさにも何らかの意味はあるんだ、とちょっとだけ信じて、先月ご紹介した方法を少しでも続けながら、時の経つのを待ってみてください。必ず、そのつらさも終わりを迎えますから。
中野史朗(なかのしろう)
均整師・整体師。東京・品川区の治療院「開音堂」で多くの患者さんと向き合う。均整術、鍼灸のほかオステオパシーの研究や通訳・翻訳も手がける。お子さんに怖がられないよう、白衣を着ないのがポリシー。著書に『からだをほぐす こころをゆるめる』(説話社刊)