年末・正月に食べ過ぎた方へ。消化器系の不調におすすめの体操

東洋医学の基本は、日々の「ご自愛」です。
心がけから始める健やかな身体とこころの整え方を均整師の中野史朗さんがやさしくガイドします。
今回は「食べ過ぎからくる体調不良」についてです。
暴飲暴食によって胃腸が疲労すると筋肉のコリや張りに
みなさま年末年始をいかがお過ごしになるでしょうか? 風邪をひいたり、ぎっくり腰になってダウンしてしまい、せっかくのお休みを寝て過ごさなければならなかった、ということも少なくないのでは。
この急な体調不良ですが、年末年始の忙しさからくる疲労はもちろんですが、暴飲暴食によることが大きいようです。たとえば、ぎっくり腰。食べ過ぎると胃腸や肝臓、膵臓といった消化器官に負担がかかりますが、背中や腰、お尻にはそういった内臓のツボがあります。一見、食べ過ぎとは関係なさそうですが、暴飲暴食によって胃腸などが疲労しますと、その反応が背部の筋肉のコリや張りとして現れます。そこに疲労が加わりますと、あるところでグキッとなってしまいます。
また、消化器は実は人体最大の免疫器官ともいわれています。ですが、食べ過ぎると消化吸収に一生懸命になってしまい、免疫の力が落ちてしまうことが十分に考えられます。そうすると、当然風邪も引きやすくなってしまいます。
年末年始食べ過ぎたな、という方は食べる量を控えめにするのはもちろんですが、お風呂にちょっと熱めのお湯を膝下くらいまでためて、お風呂の縁に座って足を入れてみてください。膝から下をよく温めることによって、消化器の働きを助けてくれます。
食べ過ぎると口の端が切れる方もいらっしゃいますが、これは東洋医学では肝臓のオーバーヒートといわれています。足の親指をくるくる回してみてください。
そして、「食べ過ぎて体重が・・・」という方には更年期障害のところでご紹介したお尻歩きも効果的です。
こちらの記事を参考にしてください。
ちなみに、私のところに来ていた方は半年で8キロ落ちた、ということもありました。
もし、風邪やぎっくり腰になってしまったら、そのままウンウン過ごすのも東洋医学的には悪くありません。日頃の疲労を解消し、食べ過ぎを反省する良い機会です。ご自愛くださりながら、素晴らしい一年の始まりをお過ごしください。
食べすぎて消化器系が不調の身体におすすめの体操
【1】消化器系の不調に「食べ過ぎ体操」
イラストのように、正座をしたままゆっくり上半身を反らして床に寝転びます。これは、古くから食べ過ぎ体操といって東洋医学では有名です。もちろん、膝や足首、股関節が痛い人はやめましょう。
【2】口の端の切れに効果的なツボ「太衝(たいしょう)」
足の親指と人差し指の間の足の甲の骨が合わさった手前が太衝。結構痛いと思いますので、気持ち良い程度に1分くらい押してみてください。おなかがグルっと鳴ったり、口を開けたときに違和感が少なくなっていたら上手くいっている証拠です。
中野史朗(なかのしろう)
均整師・整体師。東京・品川区の治療院「開音堂」で多くの患者さんと向き合う。均整術、鍼灸のほかオステオパシーの研究や通訳・翻訳も手がける。お子さんに怖がられないよう、白衣を着ないのがポリシー。著書に『からだをほぐす こころをゆるめる』(説話社刊)