夏野菜は暑さが得意って、本当?

夏の溢れる日照と雨と温度を「食べもの」というエネルギーに変換し私たちの命を支えてくれる夏の野菜たち。暑さのなかで暴れるように本領を発揮するもの、暑さに耐えながら一生懸命に育つもの、みんな違う個性が輝いています。
「夏野菜」といわれる野菜たちは、暑い夏をどのように過ごしているのでしょうか。今回は、知っているようで知らなかった夏野菜のお話です。
夏野菜は暑さが得意って、本当?
13〜28℃。これが野菜の多くが最も好む温度帯です。だから家庭菜園で栽培しやすいのは5〜7月。もちろんこの温度帯を外れても生育しますが、味や収量などに大きな影響を与えてしまいます。
ところが最近の日本の夏は、多くの地域で最低気温20〜25℃、最高気温は30〜40℃。さすがの夏野菜たちでも、これはしんどいはずです。
とはいえ人間にも「夏に絶好調!」という人がいるように、野菜にも夏に力を発揮するものがいます。俗に「夏野菜」と呼ばれるものには、大きく2つのタイプがあり、暑ければ暑いほど暴れるように元気に生育するのは、「真の夏野菜」たち。そして、高原や北日本などの「昼は暑くても朝晩涼しい場所でスクスク育つ野菜」たち。これも夏野菜といえるでしょう。
「真の夏野菜」には、おくら、なす、きゅうり、ピーマン、かぼちゃ、モロヘイヤ、にら(すべて露地)などがあります。これらは最高気温が30〜35℃程度であれば、まだまだ元気!
特におくら、モロヘイヤはとにかく暑いのが好きな「超夏野菜」です。
適温を求め、産地はリレーする
一方、「夏でも朝晩涼しい場所でスクスク育つ野菜」の代表格はトマト、とうもろこし、ズッキーニなど。暑い中でも生育しますが、果実が日焼けしたり、うまく受粉しなかったり、収穫時に品質がひどく落ちてしまう、などの弊害が出ることも。ですから真夏においしいトマトやとうもろこしは高原や東北、北海道など朝晩が涼しい地域で栽培されています。
らでぃっしゅぼーやのとうもろこし産地も、6月は東海地方、7月関東、8月は長野などの高原、9月過ぎには高原から北日本へと産地リレーをします。高い温度がないと十分に生育しないのに、涼しさも必要な、少しわがままな夏野菜たちの顔ぶれを探し出し、味わってみるのも楽しいものです。