産後の疲れと「うつ」の関係。セルフケアで産後うつを改善しよう

東洋医学の基本は、日々の「ご自愛」です。
心がけから始める健やかな身体とこころの整え方を均整師の中野史朗さんがやさしくガイドします。
女性特有の悩み産後うつ
女性にのみ起きるうつというと、出産を機になってしまう「産後うつ」があります。
私も産後うつの女性を施術することがありますが、ある共通点が見られる気がします。
まず、高齢出産の方、難産だった方、帝王切開や出産以前に婦人科系の手術を受けたことのある方、不妊治療を長年受けられていた方、産後ゆっくりできなかった方など、出産前後に無理をしてしまった方たちです。
産後うつの原因は現代医学では不明だそうですが、東洋医学的には説明可能な場合もあります。東洋医学では頭とお腹は密接に関わっている、と考えています。胃が口、おへそが鼻、わき腹が耳で、子宮などがある下腹部は頭(脳)と深く関わります。
東洋医学で考える産後うつの原因
お腹の中にいる赤ちゃんは子宮の中で丸くなっていますが、その時頭がお腹のすぐ近くに丸まっています。
受精卵が分かれて発達し、赤ちゃんの身体がつくられていくことを考えると、頭とお腹の細胞はそもそも同じ、あるいはかなり近いところにあった細胞と考えられます。ということは頭とお腹は出所がかなり近い=似た者同士と考えられます。
下腹部にメスを入れたり、婦人科系機能に負担をかけたりすると、下腹部の血液の流れが滞り、下腹部に関係する頭の血液循環まで滞ります。実際、産後うつの方は身体の疲労だけでなく、頭がぼーっとする、考えることができない、頭を上から押さえられているように感じるとよく言われます。
こういった症状は頭の血行不良、東洋医学的には「頭部?血」と呼ぶ状態であり、産後うつをつくり出す大きな原因と考えられます。
まずは下腹部の血液の流れを整えることから
産後うつの改善には、まず下腹部の血液の流れを整えることです。自宅でのケアも可能です。
ホットパックを使ったケア
ホットパックで下腹部やお尻、そしてくび筋をじっくり温めます。レンジで温めて繰り返し使えるホットパックが便利です。
?足湯
出産直後で入浴できない時は、くるぶしぐらいまで隠れるちょっと熱めのお湯を用意して足湯をしても。
?足の指をくるくる
足の指を回します。特に人差し指と中指をよく回すと、頭部?血の状態を改善してくれます。自分でやるのがつらい場合は、ぜひパートナーにお願いしてください。
外出することができれば、信頼できる東洋医学の専門家に診てもらうと、かなり早い回復が望めると思います。ご家族の協力もあおいで、出産で疲れた身体を労わってあげてくださいね。
中野史朗(なかのしろう)
均整師・整体師。東京・品川区の治療院「開音堂」で多くの患者さんと向き合う。均整術、鍼灸のほかオステオパシーの研究や通訳・翻訳も手がける。お子さんに怖がられないよう、白衣を着ないのがポリシー。著書に『からだをほぐす こころをゆるめる』(説話社刊)