生を謳歌する鶏たちからいただく、命のたまご

生を謳歌する鶏たちからいただく、命のたまご<

その卵は幸せに育った鶏のたまごですか?

 

家畜なんてどうせ殺して食べてしまうのだから何をしても大丈夫?

 

卵を生んでくれる鶏たちが、羽を伸ばしたいときに伸ばし、自由に歩きまわり、時には仲間とケンカもする。

 

そんな生き物としての本能を叶える「平飼い」飼育による卵が、日本ではあたりまえには手に入りません。

 

命の効率化が進む家畜産業のなかで、鶏たちの目線で平飼いに取組む養鶏家を訪ね、卵を取り巻く現状と、あるべき姿について考えてみました。

 

鶏の幸せに思いを馳せる

 

山梨県北西部に位置する甲斐市。

市街地から北に車で40分ほど、標高1000メートルの地にある黒富士農場を訪ねると、そこには鶏たちのご機嫌な姿がありました。

 

 

鶏舎の外で遊ぶ鶏たちに囲まれているのは、黒富士農場の三代目、向山洋平さん。

 

2015年に父・茂徳さん(現会長)から黒富士農場を引き継ぎました。

 

「ここは標高が高く、夏場は気温が上がりますが、カラッとしています。水を飲む量は増えますが、湿度の高い平地のように暑さで熱死することはないですね。冬はマイナス15度になることもありますが、鶏たちは寒さには強いんですよ。1月20日の『大寒卵』の時期には、しきりに卵を温める姿が見られます。苦労と言えば、このあたりは鹿やテン、ハクビシン、狸などが多く、野生の動物から鶏たちを守ることですね」

 

自然の中での飼育の様子がうかがえます。

 

もともと市街地で養鶏をやっていたそうですが、父の茂雄さんの代になり、自然の中で飼うため、水のきれいなこの地に移転して黒富士農場を設立。

 

それが1984年、洋平さんが5歳のときでした。

 

「当時はケージ飼いだけでしたが、開放型の鶏舎で、時代的には最も王道な養鶏をしていたんです。僕が小学校3年生のときに、学校で農場見学があってここに来ました。父は完璧な農場だと思っていたんですが、子どもたちからは『鶏がかわいそう』という感想が多くて…。それがきっかけとなり、鶏の幸せを考えた平飼いをはじめるようになりました」

 

 

現在でも需要があるために、一部ケージ飼いを行っていますが、当時12万羽いた鶏は、平飼いへの移行とともに7万羽に。

 

ケージ飼いならば1鶏舎あたり1万5000羽飼えるところ、平飼いでは3000羽という、ゆったりとした空間での飼育をしているためです。

 

「僕はこの農場で育ってきたので、これがスタンダードなんです。羽数を増やす養鶏ではなく、鶏たちが自然でいられるような状態で飼って、鶏も人間も幸せにやっていくことを続けたいですね」

 

 

現在、鶏舎を担当するスタッフは15名ほど。平飼いは手がかかるため15棟ある平飼い鶏舎を管理するのは苦労も多いことでしょう。

 

「不便な場所にあるこの農場で働きたいと選んでくれたのは、自然が好きだったり、理念に共感してくれたりしたから。僕は父が30年掛けて築いてきたこの農場を、その理念と共にしっかりと引き継いで、自分の子どもが誇れるような会社にしていきたいと考えています」

 

 

 

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