鬱やパニック障害対策に“ため息”をつこう −呼吸−

鬱やパニック障害対策に“ため息”をつこう −呼吸−

東洋医学の基本は、日々の「ご自愛」です。

心がけから始める健やかな身体とこころの整え方を均整師の中野史朗さんがやさしくガイドします。

「うつ」や「パニック障害」に大事な深い「呼吸」

私の施術所にはストレスから体調不良になってしまい、「うつ」や「パニック障害」と診断された方が多く来院されています。そのような方に対して、東洋医学では身体を緩め、姿勢を整え、深い呼吸をすることでストレスに負けにくい身体をつくるお手伝いをさせていただきます。ここで大事なのが、深い「呼吸」です。

 

ストレスがかかると、身体は自身を守ろうとするためにぎゅっと縮みます。そうすると身体中が凝るだけでなく、肋骨やお腹の動きが制限されて深い呼吸が出来なくなります。そうなると自律神経のバランスが乱れ、心の調子まで乱れてきます。実際、ストレスからくる体調不良を訴える方に深呼吸をしてもらうと、みなさん上手く出来ません。のどや胸が締め付けられる感じがして息苦しい、と訴える方もいらっしゃいます。

 

そういった方たちに特におすすめしているのが「ため息」をつくことです。もちろん、深呼吸が出来ればよいのですが、最初は身体がかたくてなかなか息が上手く吸えません。ですから、まずため息から始めていただきます。嫌なことや頭に来ることがあったら、まず1回ふーっとため息をついてください。ちょっと胸がすっきりしませんか?そうしたら、またため息をついてください。それを6〜7回繰り返すと、イライラやモヤモヤが少なくなりませんか?

ため息と呼吸

ため息をつく時に、少しイメージをしても良いと思います。嫌なことやイライラを胸の中で黒い煙や雲にして、ため息と一緒に吐き出します。それを何回も繰り返すと、だんだん気分がすっきりしてくると思います。

 

長生きは長息ということばがあるように、呼吸は本当に大事です。酸素と二酸化炭素を交換するだけではありません。呼吸とともにお腹が膨らんだりへこんだりすることで、胃や腸などの内臓がマッサージされ働きがアップします。

 

心と身体にとって大事な呼吸。ため息から始めてみてください。そして、日々のストレスを上手く流せるようになると良いですね。

 

 

●ご紹介の内容はひとつの参考としていただき、体調と向き合い治療については主治医の先生と話し合いながらすすめてください。

 


 

中野史朗(なかのしろう)

均整師・整体師。東京・品川区の治療院「開音堂」で多くの患者さんと向き合う。均整術、鍼灸のほかオステオパシーの研究や通訳・翻訳も手がける。お子さんに怖がられないよう、白衣を着ないのがポリシー。著書に『からだをほぐす こころをゆるめる』(説話社刊)