世界を変えた野菜「アブラナ科」

世界を変えた野菜「アブラナ科」

農業のこと、自然のこと、自他共に認めるらでぃっしゅぼーやイチの「農業愛」の持ち主、農産担当の杉山が農業の楽しい裏話を熱く語りつくします。

 

世界を変えた野菜「アブラナ科」

 

野菜の分類には大きく分けて2つあります。
ナス科、ウリ科、セリ科、マメ科、というように植物学的に分類する方法。
果菜類、葉菜類、根菜類と利用する部位によって区分けする方法。

 

トマトはナス科で果菜類。
じゃがいもは、ナス科で根菜類。
大根はアブラナ科で根菜類です。

 

今回はアブラナ科植物について解説します。

アブラナ科植物は地球上、最も人と共に繁栄した野菜です。

動物で例えると、人とともにさまざまな環境、時代を共にし、多くの種類が誕生した「犬」のような存在です。

 

まず、有名な葉物はほぼアブラナ科です。

白菜

チンゲン菜、小松菜、水菜、野沢菜、ルッコラ、冬に活躍するキャベツ、白菜、大根、かぶ。
西洋料理と共に広がったブロッコリー、カリフラワー。
アブラナ自体も採油植物として世界中で栽培されています。
葉、茎、根、花まで食べ、利用できるアブラナ科、元々は地中海付近で生えていた草でした。
なぜ草が、ここまで多くの形態、種となって広がったのでしょうか。

それは、アブラナ科の多くの種類が「他家授粉的植物」だからです。
他家授粉とは、他の株の花粉により授粉することを言います。
つまり、他家授粉の場合、「雑種交配=遺伝的に多様性が生まれやすい」ということになります。

多種の遺伝子の交配、突然変異の豊富さは、そのまま形態や特徴の多様性となって現れました。
この多様性によって、アブラナ科にさまざまな種が生まれ、人はアブラナ科を人類繁栄の友としたわけです。
寒い地域でも、暑い地域でも、冬でも夏でも形を変え、人に寄り添う。
そう思うと、アブラナ科がなんとも愛おしい存在に思えます。

アブラナ科は、人間と行動を共にすることによって地球上のあちこちで繁栄することができたのです。
アブラナ科の遺伝子からすると、人は運び屋でもあったのかもしれませんね。